き ょ けつ 性 心不全 の 原因。 心不全

老化にともなう循環器の病気と症状(ろうかにともなうじゅんかんきのびょうきとしょうじょう)とは

き ょ けつ 性 心不全 の 原因

聴診して鼓動を確認する岩崎陽一・東京医科大学病院循環器内科助教 かつて「心不全」は、心臓の機能が停止したという意味での死因としてしか認識されていなかった。 しかし、今は違う。 高血圧や高血糖などが原因となり狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患や心臓弁膜症を発症することで全身に血液を送り出す機能が低下し、呼吸不全やむくみなどの症状を少しずつ自覚するようになり、心不全を発症する。 心不全は急性期から慢性期まで診療範囲は広範囲に及ぶ。 その中でも「慢性心不全」は大きな社会問題になっている。 治癒することがなく、増悪と寛解を繰り返すため早期発見と早期の治療開始が鍵となる。 その結果、全身の倦怠(けんたい)感やむくみ、歩行や階段昇降時の息苦しさなどの自覚症状が生じてくる。 倦怠感やむくみは心機能の低下が進行するにつれて強くなり、起居などの日常活動への影響も招き、生活の質(QOL)に大きく影響を及ぼす。 東京医科大学病院循環器内科で心不全の専門外来を担当している岩崎陽一助教は「本来は自覚症状が出る前に発見して治療を開始できればよい。 しかし、来院する患者の大半は急性心不全の症状を発症してから受診している。 どうしても治療開始が後手に回ってしまう」と語る。 診断と治療の開始が遅れればそれだけ症状が悪化し、機能の維持が難しくなるからだ。 その後の診察はどうか。 患者に症状を説明する岩崎陽一・東京医科大学病院循環器内科助教 東京都在住の83歳の男性は、自動車に乗っているだけで靴下がきつくなるほど下肢がむくんでしまう症状に悩まされていた。 だが、心電図などの検査では心臓の機能の異常は見つかっていなかった。 この男性の治療で岩崎助教は、日常生活での症状を詳しく問診した上で、ふくらはぎの触診や、胸部単純レントゲンで心臓の大きさを確認したりし、一つ一つ状態を把握していった。 最終的に、血液検査で慢性心不全の診断指標となる「BNP」という心臓の内圧を反映する数値も参考に、「BNPの検査数値は比較的高いが、年齢を考えれば許容範囲。 身体所見も含めて総合的に判断すると心不全によるむくみとは考えにくく、そう心配することはない」と診断。 男性は胸をなで下ろしていたという。 同外来の受診者の多くは呼吸困難などの急性心不全で緊急入院し、退院後に経過観察目的に通院をしている。 なお、急性心不全を起こした後では、投薬などを重ねてもなかなか心臓機能の回復が期待できず、治療は病状悪化を抑制し、心不全再入院を回避することを目標に掲げている。 「心不全が進行すれば、心臓の機能低下だけでなく、日常の活動量の低下という問題も生じる。 この結果として、運動に必要な筋肉量が失われるサルコペニアや身体機能が低下するフレイルなどの問題も生じてしまう。 できるだけ早期に気づいて、治療を始めたい」と同助教は話す。 2019年に心不全のガイドラインが改定され、急性・慢性心不全診療ガイドラインとして発行された。 しかし、多くの循環器専門医は内容を把握しているが、一般内科を専門にしている実地の内科医には必ずしも浸透しているわけではなく、どれだけ心不全診療に結び付いているかは疑問視されている。 そうした現状を踏まえた上で岩崎助教は「息切れやむくみで心配になったら、まず、かかりつけの医師に相談し、専門医を紹介してもらいたい」とアドバイスする。

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虚血性心疾患とは(症状・原因・治療など)|ドクターズ・ファイル

き ょ けつ 性 心不全 の 原因

人間誰しも、最期は苦しむこと無く『ピンピンコロリ』で逝きたいと思っているはずです。 死の間際になって、経験したことのないような痛みを味わうなど、誰一人として望むことはないでしょう。 しかし近年、増加傾向にある突然死の主な原因となっている《虚血性心不全》は、激しい痛み・息苦しさを伴った末に心臓が止まります。 つまり死の間際に、誰もが避けたい『経験したことのない痛みと苦しさ』を味わうことになるんです。 「突然死だから予測のしようがない」と思う方も多いでしょう。 しかし意外なことに、実は、虚血性心不全には思ってもいないような予兆があるのをご存知でしょうか? この記事では『虚血性心不全とはどういった病気なのか』ということを皮切りに、健康診断では分かることのない『虚血性心不全の予兆となる意外な症状』について話しています。 『ある日、突然倒れて命を落としてしまう』といった不幸を未然に防ぐためにも、ぜひ最後まで読んで頂いて、あなたご自身は当然のこと、あなたの大切なご家族の尊い命を守って頂きたいと思います。 ページコンテンツ• 虚血性心不全とは 元プロ野球選手で、名将としても名高い野村克也さん。 その野村さんの最愛の妻である野村沙知代さんが突然死されたニュースは、みなさんの記憶にも残っていると思います。 その突然死の原因が、近年急増している『虚血性心不全』です。 虚血性心不全という病名は浸透していますが、そもそも、どういった病気なのか知らない方も多いかと思います。 虚血=血が通わなくなる• 心不全=心臓の機能が低下する 上記の2つが原因となって、死に至ってしまうのが虚血性心不全なんです。 虚血性心不全は『狭心症や心筋梗塞』の総称 一般的に知られる『狭心症や心筋梗塞』も、虚血性心不全に含まれています。 心臓に酸素や栄養を送る冠動脈 血管 が、動脈硬化によって細くなってしまい、心臓に運ばれるべき酸素や栄養が足りない状態になるのが狭心症です。 一方で、血液が完全に詰まって、血液が途絶えた状態を心筋梗塞といいます。 これらが原因となって、心臓の働きが弱ってしまうことを総称して《虚血性心不全》と呼んでいます。 心臓の筋肉が壊死する 心臓に血液が行き渡らなくなると、必要な酸素や栄養が不足してしまうことになるので、心臓の筋肉は壊死します。 動脈硬化による心筋の壊死 『』より画像を引用 筋肉が壊死すると、当然のことですが、心臓のパワーは落ちてしまいます。 心臓のパワーが落ちると全身に血液を送ることができなくなります。 この一連の流れが《虚血性心不全》なんです。 最終的には心臓が止まってしまい、死に至ることとなります。 虚血性心不全は尋常ではない痛みを伴う 冒頭でも述べているように、虚血性心不全というのは、死の間際に経験したことのないような、尋常ではない痛みと息苦しさを伴います。 そして、死に至るまでの時間は人によって様々です。 1分ほどで意識を失ってしまう人もいれば、30分以上も苦しみながら亡くなっていく方もいます。 突然死だからといってコロリと逝くことはなく、非常に苦しい病気だと言えます。 虚血性心不全は肺の機能も低下させてしまう 心臓が十分な酸素を送れなくなった場合、送り出す血液の量を増やすために、心臓は激しく鼓動します。 しかし、そもそも心臓が弱っている状態なので、いくら頑張っても血液を上手く送り出すことが出来なくなっています。 そのため、心臓の上流に血液の渋滞が起きてしまうんです。 心臓の上には肺があるので、血液の渋滞が起きると、そこに水が溜まることになります。 水が溜まることで、肺の酸素交流の働きが低下してしまい、酸素をうまく取り込めなくなり息苦しくなるんです。 虚血性心不全は、痛みと共に、こういった原因から呼吸障害も伴うことになるので、その苦しさは想像を絶するものだと言えるでしょう。 虚血性心不全は高齢者だけの病気ではない 一昔前では、虚血性心不全といえば『=高齢者の病気』と言われていました。 しかし今はもう、たとえ40歳代・50歳代でも当たり前の時代になっています。 なぜ若年化しているのかというと、食生活の乱れや社会的ストレス、運動不足といったものが主な原因と言われています。 主要死因 3大死因 による年齢別死亡者数 『 』より画像を引用 このような原因から血管の老化が進行して、動脈硬化へと繋がるんです。 動脈硬化が進行すると、心臓への血流が滞ってしまい、虚血性心不全を引き起こすことになります。 現在、糖尿病患者が年々増えているのですが、これに比例して虚血性心不全が原因での死亡者が増加している現状もあります。 虚血性心不全は健康診断では分からない 日常の一般的な生活では、心臓に負荷がかかっていません。 安静にしている状態というのは、心臓も落ち着いた状態で働いています。 そういった状態ならば、冠動脈が細くなり虚血状態になっていても自覚症状はありません。 つまり、日常生活だけであれば、虚血状態となった少ない血液の流れでも、命に関わってくるような事態にはならないんです。 ところが、これが心臓に負荷のかかる運動時となると、話はまったく違ってきます。 運動時の状態で心電図をとることはない 運動時といっても、ジョギングやウォーキングなどの時だけではなく、少し急ぎ足で動いたり階段の上り下りといった場合も含まれるのですが、こういったときは大量の血液 酸素 が必要となるんです。 そのため、虚血状態の方というのは、心臓に十分な血液を送ることが出来ないため酸素不足の状態となるので、息切れしたり胸が苦しくなったりします。 こういった状態で心電図をとれば異常が出るのですが、通常の健康診断では、そんなことはしません。 虚血状態が潜伏しているにも関わらず、健康診断で《異常なし》と見逃されてしまうことが多いのは、こういった理由があるからです。 心臓は症状が出にくい 心臓というのは、数ある臓器の中でも非常に強くて頑丈な部位です。 そのため、血管が通常の50%~60%くらいまで細くなっても、なかなか症状が出ることはなく、100%近く細くなってようやく症状が現れることが多いのです。 「ポックリ逝けるならそれでいいよ」と思う方は多いかもしれません。 しかし、虚血性心不全で亡くなる瞬間の苦しみや痛みというのは、例えられないものがあるといいます。 出来ることならば、誰もが避けたい病だと言えるでしょう。 ですが残念なことに、現段階では、虚血性心不全の発症を事前に予測することは、ほぼ不可能に近いんです。 《予兆》を知って虚血性心不全を予防しよう 心臓は強くて頑丈な臓器が故に、異常があっても見逃されやすいため、虚血性心不全の予測はまず無理と言えます。 しかし、予測は無理でも『予兆』がまったくないわけではありません。 実は、虚血性心不全には、様々な症状が予兆として関係していると言われています。 そこでここからは、虚血性心不全に関係している予兆について具体的に話していくので、ぜひご自身やご家族の症状と照らし合わせて、虚血性心不全による不幸を避けるヒントにして頂ければと思います。 慢性の心不全になると、心臓の負担を少しでも減らすため、BNP 脳性ナトリウム利尿ペプチド という、排尿を促進するホルモンが分泌されます。 こういった理由からトイレが近くなって、夜中に何度もトイレに起きてしまうことになります。 つまり、心臓に問題を抱えている人というのは、夜間頻尿である可能性が高いことになります。 スウェーデンの研究機関の調査で確認 夜間頻尿のある方は、虚血性心不全や脳梗塞などの血管疾患が発生しやすいことが、スウェーデンの研究機関で確認されています。 また、そういった血管疾患を引き起こした後の生存率が低いことも確認されています。 夜中に何度もトイレに起きてしまうという人は、心臓血管外科などを受診して、専門医の指導を受けることをお勧めします。 水分の摂り過ぎには注意 眠る前の水分の摂り過ぎには注意が必要です。 とくに高齢者の場合、唾液の量が減ってしまうので、のどが乾いてついつい水を飲みすぎる傾向があります。 しかし、出来る限り就寝前の水分摂取は控えるようにした方が良いと言えます。 『水分を摂ることで血液がサラサラになって、脳梗塞や心筋梗塞を予防出来る』ということから、就寝前に、必要以上に水分を摂る方が少なくありません。 しかしこれに関しては科学的根拠がないんです。 就寝前の水分摂取は、多くてもコップ1杯ほどで抑えておくようにして頂きたいと思います。 心臓のポンプ機能が低下すると、より多くの血液が必要となるので、体が水分を溜め込むようになります。 これが浮腫みの症状となって現れます。 この溜まった水分が、寝ることで夜間頻尿を引き起こす原因となるんです。 これは、人間の体というのが、寝るとリラックスすることに関係しています。 リラックスすることで、細胞などの組織の間に入っていた血液 水 が血管に戻ります。 戻った水分 血液 は尿として体外に排出するように働くので、夜中に何度もトイレに起きる《夜間頻尿》となるんです。 手足の浮腫みがひどい場合、まずは、就寝前に『むくみ対策』をしてみましょう。 寝る前に行う簡単な《むくみ対策》 浮腫みの対策としては、就寝前に『足上げ』を行うと効果的だと言われています。 やり方は、誰にでも出来る簡単なものなので、積極的に行うことをお勧めします。 浮腫み対策《足上げ》のポイント 就寝前に、クッションなどに両足を乗せるだけの簡単な方法です。 ポイントとしては、上の画像のように、ひざ下からふくらはぎの部分をクッションに乗せることです。 寝る前にこの姿勢をとることで、血液の循環が良くなり浮腫みを予防・改善することが出来ます。 心臓や血管のポンプ機能が改善されて、虚血性心不全を予防する効果も期待できるので、毎日の就寝前にぜひ実践して頂きたいと思います。 虚血性心不全の予兆として考えられるのは『5分くらい胸全体がギューッと締め付けられる』ような痛みです。 『胸が毎日痛い』『1週間くらい痛みが続く』といった症状の場合、虚血性心不全ではなく、別の病気の可能性が高くなります。 ただ、予兆であろうとなかろうと、これらのような痛みがある場合は、まず専門医に診てもらい、必要な治療を受けることが重要です。 最も恐ろしいのは『潜病』の状態 血管の壁のパンパンに張ったプラーク 動脈硬化病巣 が破れたときというのは、最も危険な状態となります。 このとき、破れて切れたところから内出血を起こして、血の塊ができます。 それが一気に血管を詰まらせることになるんです。 しかし、詰まるまでは血が流れているので、症状が出ない『潜病』の状態となります。 潜病の状態が、ある日いきなり破裂して虚血性心不全となり突然死の原因となるんです。 ある日突然『それまでのスピードで歩くのがしんどい』などの《運動時の異常》が見られる場合は、虚血性心不全の予兆 潜病の状態 を疑ったほうがいいと言えるでしょう。 予兆を疑う7つの症状• ベッドに入ると咳が出る• みんなと歩いていると自分だけが遅れる• 坂を上がると息切れがして苦しい• 歯や顎 あご が浮いているような感覚がある• 左肩が痛む• 手足の先が冷たい• こういった症状のある方は、とにかく専門医に診断してもらうことをお勧めします。 まとめ(虚血性心不全の予兆となる10の症状) 虚血性心不全は、高齢者だけではなく、成人であれば誰でもなる可能性があります。 20代や30代の若年層でも、動脈硬化というのは少なからずあるものなので、それをいかにして管理していくかが、虚血性心不全での突然死を防ぐために重要となるんです。 当然のことなのですが、自分自身やご家族の生活習慣を見直すことも必要だと言えます。 たとえば『内臓脂肪を減らす』『ウォーキングなどの有酸素運動を日課にする』といったことが、虚血性心不全を予防することに繋がります。 最期の最期で『苦しみながら逝く』という最悪のシナリオを避けるためにも、まずは、常日頃から《体調管理を万全にしておく》ことが、何よりも重要だと言えるでしょう。

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心不全とは?原因・症状・治療・手術・予防方法|ニューハート・ワタナベ国際病院

き ょ けつ 性 心不全 の 原因

年をとれば髪が白くなり、骨がもろくなるように、正常な心臓にも年とともにさまざまな変化がおこります(「」)。 高齢者は、一般的に、全身の動脈硬化(どうみゃくこうか)が進んでいることが多く、それにともなって血圧(おもに収縮期血圧(しゅうしゅくきけつあつ)=最高血圧)が上昇しています。 こうなると、心臓は高い血圧にうちかって全身に血液を送らなければならないため、心肥大(しんひだい)になります。 これは、心臓の壁が厚くなり、全体として心臓が大きくなるものです。 心臓の壁が厚くなると心臓は血液の流入に対して広がりにくくなります(拡張機能の低下)。 そのため、運動などの負荷がかかると肺や下肢(かし)に血液のうっ滞(たい)(流れにくくなる状態)がおこりやすく、うっ血性心不全(けつせいしんふぜん)をおこしやすくなります。 また、心臓の弁にカルシウムが沈着して、弁がかたく開きにくくなったりします。 さらに、心肥大にともない、弁輪(べんりん)(弁のまわりの組織)が拡張して、うまく弁が閉じなくなるなどの弁機能不全(べんきのうふぜん)も多くみられるようになります。 心臓は1分間に60~80回程度の速さの規則正しいリズムで収縮しています。 このリズムは心臓の洞結節(どうけっせつ)といわれる部分にあるペースメーカー細胞によってつくられ、刺激伝導系を通って心臓のすみずみまで伝えられます。 ところが、高齢になると、ペースメーカー細胞の数が減少したり、そのはたらきが悪くなって不整脈(ふせいみゃく)がおこりやすくなり、ときには人工ペースメーカーの挿入が必要となることもあります。 このように、加齢による変化を受けた心臓をもつ高齢者は、高血圧(こうけつあつ)、虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)、大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)、心不全(しんふぜん)、不整脈などの疾患にかかることが多くなります。 ところが、高齢者の病気の特徴的な症状は、若い人のように、目だって現われないという特徴があります。 また、食欲低下や意識障害など、心臓に関係ない症状を訴えることもあります。 さらに、同時にいくつもの病気にかかっている例も多いため、若い人のように、この症状ならこの病気、と特定できないこともしばしばみられます。 このような特徴をふまえ、高齢者に多い循環器疾患とその症状をつぎにみてみましょう。 年齢とともに動脈硬化が進み、血管の弾性が低下すると、それにともなって血圧が高くなります。 WHO(世界保健機関)の診断基準は、収縮期血圧(しゅうしゅくきけつあつ)が140mmHg以上、あるいは拡張期血圧(かくちょうきけつあつ)が90mmHg以上を高血圧と定義しています。 この基準に従うと、70歳以上の高齢者の約半数が高血圧であるともいわれます。 しかし、収縮期血圧は年齢とともに増加するものの、拡張期血圧はほぼ横ばいにとどまり、脈圧(この2つの血圧の差)が増大した高血圧が多い特徴が高齢者にはあります。 また、血圧の調節機能が衰えて、血圧の日内変動(にちないへんどう)や季節による変動が大きくなる傾向もあります。 そのため、高齢者の血圧を評価するためには、日を変え、少なくとも3回は測定することが必要でしょう。 若い人と同様、高齢者も初期の高血圧症では自覚症状を訴えることはほとんどありません。 しかし、高齢になると心臓のポンプ機能が弱っていることが多く、さらに血圧の自動調節能も衰えているため、立ち上がったときに脳に送られる血液が減少し、めまいやふらつき(起立性低血圧(きりつせいていけつあつ))をおぼえることがしばしばみられます。 さらに、経過の長い高血圧の患者さんでは、脳や心臓、腎臓(じんぞう)、眼底(がんてい)などの血管に重い障害を合併していることがよくあり、これらの合併症による症状を自覚することも少なくありません。 たとえば、脳の血管に障害がおよぶと、頭痛やめまい、手足のしびれ感をおぼえますし、さらに重度の高血圧が続けば脳出血、脳梗塞(のうこうそく)など、生命にかかわる病気に進展することもあります。 また、心臓への負担が増加する結果、心臓が代償的(だいしょうてき)に肥大しますが、放置しておくと心不全になってしまうこともあります。 腎臓の血管も、長年高血圧にさらされると、内腔(ないくう)が狭くなり、血液の循環が障害されます。 その結果、腎硬化症(じんこうかしょう)(「」)さらには腎不全(じんふぜん)(「」)になり、人工透析(じんこうとうせき)が必要になることもあります。 眼底の血管も、高血圧の影響を受けると動脈硬化が進みます。 放置しておくと眼底出血(がんていしゅっけつ)をおこすことがあります。 以上のようなことから、高齢者の高血圧の治療には、まずそれが老化にともなう生理的な血圧の上昇であるのか、さまざまな合併症をともなう寿命を縮める可能性のある高血圧なのかを区別する必要があります。 ところが、実際にはこの両者を区別することはなかなかむずかしいのです。 もちろん、諸臓器の合併症があればすぐに治療しなければなりませんが、高齢者の場合、血圧を急に下げると臓器への血流量が低下してしまいかねないため、目標とする血圧は若い人よりも高めに設定され、ゆるやかに下げていくようにされます。 具体的には、60歳代では収縮期血圧が140mmHg、拡張期血圧が90mmHg以上、70歳代では収縮期血圧が160mmHg、拡張期血圧が90mmHg以上で治療を開始し、収縮期血圧が150~160mmHg、拡張期血圧は90mmHgに下げることが目標とされます。 治療は、食塩制限や運動療法など、できるかぎり薬物を使わない方法が勧められますが、効果が十分でないときは降圧利尿薬(こうあつりにょうやく)やカルシウム拮抗薬(きっこうやく)、アンギオテンシン変換酵素阻害薬(へんかんこうそそがいやく)などによる薬物療法が行なわれます。 心臓は全身に血液を送るポンプのはたらきをしており、脳や肝臓、腎臓などの臓器は、送られてくる血液中に含まれる酸素や栄養(エネルギー源)を取り込んで活動しています。 心臓も、ほかの臓器と同様、その活動のためには酸素とエネルギーが必要です。 その補給路が冠動脈(かんどうみゃく)と呼ばれる、心筋に血を送る血管です。 この冠動脈が細くなって心臓に十分な血液が送れなくなったり、血流が途中で途絶えてしまう病気を狭心症(きょうしんしょう)や心筋梗塞(しんきんこうそく)といい、この2つを総称して虚血性心疾患(きょけつせいしんしっかん)といいます。 虚血性心疾患は、その大部分が冠動脈の動脈硬化が原因でおこるものです。 動脈硬化を促進させる因子に、高血圧、高脂血症(こうしけっしょう)、糖尿病、喫煙などがありますが、加齢もそのなかに含まれます。 高齢者が虚血性心疾患にかかる率が高くなるのはそのためで、虚血性心疾患での死亡数は年々増加しています。 狭心症や心筋梗塞は、多くの場合、「胸が押さえつけられるような」とか「胸が締めつけられるような」と表現される突然の胸痛を訴えて発症します。 ところが高齢者では、呼吸困難や腹痛だけとか、まったく痛みを訴えない無症候性心筋虚血(むしょうこうせいしんきんきょけつ)が多い特徴がみられます。 これは、高齢者は痛みの閾値(いきち)(痛みに耐えられる限度)が高いこと、痛みを伝える神経の伝導路に障害があるため、などと考えられています。 高齢者の急性心筋梗塞による死亡率は、若い人の2~3倍といわれていますが、これは、高齢者では多枝病変(たしびょうへん)(冠動脈の複数の箇所に梗塞がおこること)が多いこと、再発例が多いこと、心不全やショックを合併しやすいこと、脳梗塞など他の病気との合併が多いこと、痛みを訴えることが少なく、受診が遅れること、などによります。 虚血性心疾患の診断は、まず心電図検査、血液生化学検査、核医学検査などの非侵襲的検査(ひしんしゅうてきけんさ)(からだへの負担の少ない検査)から行なわれ、症状や病態によって選択的冠動脈造影(せんたくてきかんどうみゃくぞうえい)(心カテーテル検査)が行なわれます。 治療は、薬物療法のほか、冠動脈形成術(PTCA)や冠動脈バイパス術(CABG)などの手術(観血的(かんけつてき)治療)も積極的に行なわれます(狭心症の「 狭心症の治療」)。 心臓には心房(しんぼう)と心室(しんしつ)という2つの部屋が左右に1組ずつありますが、心房と心室との間、そして心室と動脈との間にそれぞれ1つずつ、合計4つの弁があります。 これらの心臓の弁が、いろいろな原因によって変化して、開きにくくなったり閉まらなくなる病気が心臓弁膜症(しんぞうべんまくしょう)です。 弁膜症をおこした心臓は、血液を送り出す力がよけいに必要となったり、心臓の中で血液が逆流して、ポンプとしての仕事効率が悪化します。 放置しておくと、心臓が疲弊(ひへい)して心不全になってしまいます。 弁膜症の原因には、小児の時期に発見されることが多い先天的な弁の異常や、リウマチ熱にかかった後に弁の破壊がおこるリウマチ性のものがありますが、高齢者の場合は、加齢による弁の変性、つまり、動脈硬化や弁のまわりの組織(弁輪(べんりん)という)の石灰化によるものが多くみられます。 動脈硬化の影響をもっとも受けやすいのは大動脈弁で、この弁がかたくなって開きにくくなる大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)という病気が高齢者によくみられます。 この病気になると、狭くなった弁を通して血液を全身に送らなくてはならないため、心臓に大きな負荷がかかります。 はじめのうちは、この負荷に対応するため、心臓は代償的(だいしょうてき)に肥大することでしのごうとします。 しばらくは自覚症状もなく経過しますが、長い年月のうちに代償性心肥大も限界に達し、労作時(ろうさじ)の息切れや胸痛(きょうつう)、または失神(しっしん)などの症状を自覚することになります。 ところが、高齢者は、若い人と異なる症状を訴えることもあります。 場合によっては、いきなり心不全を発症することがあります。 冠動脈の動脈硬化が進んでいる場合も多く、虚血性心疾患の合併が約3割の人にあります。 弁膜症は、特徴のある心臓の雑音や頸動脈(けいどうみゃく)の狭窄音(きょうさくおん)が聴取されること、心電図検査や胸部X線検査で心肥大がみられることで診断がつきます。 さらに、心臓超音波検査を行なうと、弁の狭窄の程度(弁口面積(べんこうめんせき))や狭窄部位前後の血圧の差まで測定できます。 ひとたび心不全や失神などをおこすと、その後は病気の進行が早くなるため、心カテーテルによる大動脈弁形成術(だいどうみゃくべんけいせいじゅつ)や大動脈弁置換術(だいどうみゃくべんちかんじゅつ)(開胸術(かいきょうじゅつ))が検討されます。 最近はからだに負担の少ない方法が開発され、高齢者でも弁置換術を受けられるようになりました。 心臓は、生涯を通して、規則正しいリズムで収縮し続けます。 このリズムを生み出すのが洞結節(どうけっせつ)といわれる部分です。 洞結節でつくられたリズム(電気信号)が、刺激伝導系という経路を通って心臓のすみずみにまで伝えられることで、心臓が全体として規則的に収縮するのです。 洞結節や刺激伝導系も加齢による影響を受けます。 しばしば洞結節がうまくはたらかず脈拍が異常に遅くなってしまう洞不全症候群(どうふぜんしょうこうぐん)という不整脈や、刺激伝導系の障害により洞結節のリズムが心室に伝わらず、心室が自分のリズムで収縮してしまう完全房室(かんぜんぼうしつ)ブロックという不整脈がよくみられます。 洞不全症候群や完全房室ブロックの場合、脈拍が遅くなること(徐脈(じょみゃく))が問題で、ときに数秒間にわたって脈拍が停止するため、脳への血流が減少し、めまいや失神発作をおこしたりします。 徐脈のために心不全症状を訴える場合もあり、心臓ペースメーカーによる治療が必要になります。 また、動脈硬化をはじめ、高血圧や弁膜疾患、心不全などの循環器の病気をもっている高齢者では、病気による心房細動(しんぼうさいどう)や期外収縮(きがいしゅうしゅく)という不整脈がしばしばみられます(心臓の病気の「」参照)。 心房細動は、絶対性不整脈(ぜったいせいふせいみゃく)ともいわれ、脈拍がバラバラになってしまうもので、速いことも遅いこともあります。 心房細動をおこすと、心房の中で血液の流れがよどむため、血栓(けっせん)という小さな血のかたまりができやすくなります。 この血栓が脳や腸管の血管につまると、脳梗塞(のうこうそく)や虚血性大腸炎(きょけつせいだいちょうえん)など、致命的な病気をひきおこしかねません。 予防として、抗凝固薬(こうぎょうこやく)や抗血小板薬(こうけっしょうばんやく)などの薬剤の内服が行なわれますが、出血しやすくなったり、血が止まりにくくなるため、注意が必要です。 期外収縮は心臓が予定よりも早めに収縮してしまう不整脈で、「脈がとんだ」とか「心臓がドキッとした」と表現されるものです。 一過性であることが多く、治療の対象とならないことも多いのですが、持続しておこる場合、また失神などの症状をともなう場合には厳重な管理が必要になります。 不整脈の診断は、心電図検査によって行なわれますが、受診したときにはおさまっていることがあります。 そういう場合は、携帯型のホルター心電図を装着し、24時間連続して心電図を記録して診断します。 これまであげたようなさまざまな心臓の病気によって心臓のポンプ機能が低下し、全身に送られる血液が不足し、肺や肝臓、下肢(かし)にむくみが生じる状態を心不全(しんふぜん)といいます。 高齢になればなるほど心臓の予備力は低下しますから、かぜをひいたり、塩分をとりすぎたり、動きすぎるなど、わずかな負荷がかかっても心不全になりやすくなります。 心不全になると、最初は階段や坂道で息切れや動悸(どうき)がしたり、足のすねや甲の部分がむくむなどの症状が現われ、重症になると、安静にしていても息苦しさをおぼえたり、夜間に突然苦しくなって起き上がったりするようになります。 循環器の病気の原因はさまざまですが、高齢者の場合は、動脈硬化が病気の発症に大きくかかわっています。 動脈の内腔(ないくう)は内皮細胞(ないひさいぼう)という細胞におおわれており、血液がスムーズに流れるようになっていますが、この内皮細胞がなんらかの理由で障害を受けると、コレステロールが沈着したり、血小板が集まって血栓(けっせん)をつくるなど、その内腔が狭くなってつまるようになります。 このような病気を総称して動脈硬化というのですが、加齢による血管の老化が動脈硬化をおこすもっとも大きな要因と考えられています。 動脈硬化は、程度の差こそあれ、年をとってくれば誰にでもおこりますが、その進展を早めるいくつかの危険因子(きけんいんし)があります。 その代表的なものが高血圧、糖尿病、高脂血症、喫煙、肥満、高尿酸血症(こうにょうさんけつしょう)などです。 欧米を中心に、数多くの疫学調査(えきがくちょうさ)や介入試験(かいにゅうしけん)(治療をかねて行なう試験)がこれまでに行なわれ、その結果から、前述した危険因子を若いうちからきちんと治療・予防すれば、動脈硬化の進展を遅くすることが明らかにされました。 しかし、このような疫学調査は60歳以下の人を対象に実施されることが多いため、すでに動脈硬化が進んだ高齢者でも、危険因子を管理することで、その進行を抑えられるかどうかは議論の分かれるところでした。 ところが、最近ヨーロッパで行なわれたWOS、4Sという大規模な介入試験の結果、高齢者でも薬によって高コレステロール血症を治療したほうが心血管系の動脈硬化を抑制でき、死亡率も減らせることが証明されました。 つまり、高齢者の動脈硬化の予防には、危険因子のコントロール、とくに高血圧や糖尿病をきちんと治療し続けること、また健康な人でも、区や市町村が行なう健康診断を定期的に受け、コレステロールや尿酸値などをチェックすることがたいせつであることが確認されたわけです。 出典 家庭医学館について.

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