ドレーン。 胸腔ドレーン管理【いまさら聞けない看護技術】

排液の色で異常を見極める!ドレーンの種類と排液のアセスメント

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0 術後の患者さんを診る病棟看護師は、 ドレーン排液の色調や性状の変化に敏感になる必要があります。 しかし、すぐに医師に相談できるICUなどの部署と違い、一般病棟では、 「医師を呼ぶべき変化かどうか」 を迷うケースは多いと思います。 そこで今回は、ドレーン管理のポイントや注意点についてまとめたいと思います。 排液の変化に応じた対応の仕方と、医師に何を説明すれば良いかにポイントを絞って解説します。 もちろん、患者さんによって病態や術式は様々ですので、 対処法は一概には説明できません。 あくまで一般論として説明します。 なお、今回は 腹部の術後(特に消化器)について書いています。 他の部位の手術でも当てはまることはありますが、部位が異なると対応策も異なりますのでご注意ください。 正常の排液はどんな性状? まず 「正常」から説明します。 術後のドレーン排液の色調は正常なら 「淡血性〜漿液性」です。 淡血性とは、 ややピンク〜赤みがかった透明のことです。 漿液性は 黄色〜無色透明ですね。 術翌日は 赤みのやや強い淡血性で、これが 徐々に漿液性に変化していくのが正常の経過です。 排液量は、腹部の術後すぐなら、おおむね 50mlから500mlの間におさまるのが一般的です。 その後徐々に減ってきて、2桁台まで減少したところで抜去するケースが多いです。 ただ、 量と抜去のタイミングは、施設や術式によってかなり差があります。 「量に関わらず翌日抜去」というケースもあれば、かなり減少しても入れ続けるケースもあります。 (ケースバイケースなので、一般論を述べることはあまり意味がありません) さて、では 注意すべき排液の変化はどういうものでしょうか? 対処法とともに、順に説明していきましょう。 赤色(血性)に変化した 真っ赤な血液に近い排液が出ている場合は、 腹腔内出血を疑います。 術後すぐなら赤みが強くても正常ですが、 「血性」であれば異常です。 量によっては、緊急手術による止血が必要になります。 医師にコールしたのち、すぐにモニタリングを開始、バイタルを頻回に確認するようにしましょう。 (バイタル:血圧、脈拍、呼吸数、体温、意識レベル) 医師には、 バイタルサイン ドレーンの性状 時間あたりの排液量 を説明します。 特に 「どのくらいの時間でどのくらいの量が出ているか」は大切です。 「この20分で200ml出ています」 というような説明であれば、「緊急」であることが容易に伝わります。 外科医は、手術終了後から病棟搬送までのあいだ、ドレーンの色をかなり気にして見ています。 すでに少量の血性排液が出ていることを認識しているケースもありますので、 「ドレーン排液が血性です」 という報告だけだと、 「どのくらい出ていますか?」 と必ず返ってきます。 抗凝固剤や抗血小板剤が入っているケースでは 「術後はある程度赤みが強くても当たり前」と外科医は思っています。 やはり 「時間と量」の報告が大切です。 また、性状の説明として、 コアグラ(血液が塊をつくった状態)が含まれているかどうかも確認しましょう。 コアグラを形成している時は、 短時間の大量出血を考えます。 また、 膵臓の術後で膵液瘻が起こっているケースでは、術後数日経過してから出血が起こることもあります。 術直後に限らず、ドレーン排液の血性変化には注意しましょう。 ワインレッドに変化した 「ワインレッド」と呼ばれる くすんだ赤〜紫の排液は、 膵液瘻の特徴的な所見です。 (「膵液漏」とも書きます) 膵液瘻は、 膵臓の切除術や、 胃がんの手術で起こります。 (胃がんの手術では膵臓表面のリンパ節を郭清するためです) ドレナージがうまくいかず、腹腔内に膵液が貯留したままになると、 膵液の作用で血管の壁が破綻し、大出血を起こすことがあります。 こうした合併症は膵液瘻が起こった後すぐに起こるわけではありませんので、 膵液漏自体に緊急性はありません。 夜間なら、翌朝報告でOKです。 (医学的にはそうですが「一報入れてほしい」という外科医もいますので、病棟での習慣を確認しましょう) 検査としては、ドレーン排液のアミラーゼやリパーゼを測定し、CTでドレナージの状況を確認することになるでしょう。 茶色に変化した 便汁様のとき ドレーン排液が 便汁様の混濁した茶色の場合は、 腸管内容物の漏出を疑います。 下部消化管(大腸)の術後の 縫合不全では、ドレーンが便汁様になります。 消化管手術でない場合(婦人科、泌尿器科手術など)であれば、 術中の腸管損傷を疑います。 量が多くても少なくても「異常」です。 やはり医師へのコールが必要です。 絶飲食とし、バイタルを頻回にチェックしましょう。 高熱がある場合や痛みが強い場合は、医師が来るまでにモニタリングを始めるのが望ましいです。 縫合不全や腸管損傷によって起こる 汎発性腹膜炎は、急速にバイタルが悪化するリスクがあります。 厳重な注意が必要です。 胆汁様のとき 肝臓、胆道、膵臓の術後で、 褐色の明るい茶色〜黄色の排液が出ているケースでは 胆汁漏を疑います。 胆汁漏は、ドレーンできっちりドレナージできていれば保存的に見ることが可能です。 縫合不全とは違い、 バイタルが安定していれば緊急性はありません。 夜間であれば、翌朝報告で良いでしょう。 ただし、 医師の指示をもらうまで絶飲食とするのが無難です。 緑色に変化した 腹部の手術後でドレーン排液が 緑色の場合は、 腸液の漏出を疑います。 特に 小腸の腸液は緑色になります。 よって、 胃や小腸(上部消化管)の手術後の縫合不全や、術中の腸管(小腸)損傷を考えます。 すぐに医師へのコールが必要です。 対応策は、前述の 茶色のケースと全く同じです。 ただ、茶色の方、つまり下部消化管からの漏れの方が危険で、緊急性は高くなります。 排液中に含まれる細菌の量が、下部では上部よりはるかに多いためです。 白色に変化した ドレーン排液が ミルクのように白くなる場合は、 リンパ液の漏れ(リンパ漏)である可能性を考えます。 腸管から吸収された 脂質が流れるリンパ管を損傷した時に、脂質を含むリンパ液が漏出する現象です。 この脂質を「乳糜(にゅうび)」と呼ぶため、白い液が漏れることを 「乳び漏」とも呼びます。 (リンパ管は全身に張り巡らされているため、脂質の通り道でないところの損傷なら いくら漏れても「透明」です) がんの手術ではリンパ節郭清を行います。 その際リンパ管が途中で切れ、リンパ液が漏れます。 食道手術であれば、胸腔内を通る最大のリンパ管である 「胸管」の損傷で乳び漏が起こります。 リンパ管は、術中に糸でくくったり、デバイスを使ってシールすることで漏れを最小限に抑えることは可能ですが、ゼロにはできません。 術中にリンパ液の漏れがあっても自然に止まりますが、長引くと食事開始とともに排液が白く変化します。 バイタルが問題なければ、 基本的には「経過観察」でOKです。 夜中であれば、翌朝主治医に報告しましょう。 このケースでも、 量と時間は正確にカウントしておくのが良いでしょう。 治療としては、 食事中の脂肪分を減らす、薬剤投与するなどの対応をとりつつ、自然に止まるのを待ちます。 リンパ漏によって術後の病態が急激に悪化するようなことはほとんどなく、多くは 数日で軽快します。 ただし、 食道手術での胸管損傷が原因のケースでは、治療に難渋するなど危険なこともあります。 広告 排液量が急に減った ドレーンからの排液が急に減った、あるいはなくなった、というケースに遭遇することもよくあります。 「もともと排液量がわずかだった人がゼロになった」 というケースでは気にしませんが、 それなりの量が出ていた人(少なくとも100 ml程度を超える量)でほとんど出なくなった、というケースでは「異常」と判断します。 特に、縫合不全や腹腔内膿瘍、胆汁漏や膵液瘻に対する 治療(ドレナージ)を目的としてドレーンを入れているケースでは、すぐに医師にコールが必要です。 ドレナージ不良によって、腹腔内に本来除去すべき液体が貯留し、感染が悪化するためです。 特に合併症のない良好な術後経過で、バイタルが安定しているのであれば、緊急性はありません。 夜間であれば、翌朝医師に報告でOKです。 ただし、 ドレーンがkinkしていないか(ねじれていないか) わき漏れが多くはないか の確認は必要です。 刺入部からバッグまで全て観察し、ねじれがないかを確認しましょう。 刺入部はドレッシングを剥がして確認しましょう。 特に、 体動によって刺入部付近でkinkしているケースはかなり多いです。 それがなければ、 体内でのkinkの可能性があります。 念のため、直近のレントゲンを見直すのも一つの手です。 レントゲンを見慣れていない人でも、 管が折れているのは容易に分かります。 あるいは、 わき漏れが多くなると、当然見た目のドレーン排液量(ドレーンバッグ内の量)は減ります。 わき漏れがないかどうかも確認しましょう。 これらがなければ、排液量の急激な減少は ドレーンの閉塞が原因です。 対応は医師に任せましょう。 大量の排液がある 色調の異常はないが、 量が多い、というケースも悩ましいでしょう。 よく遭遇するのは、 リンパ漏がなかなか止まらず、毎日のように量が多いケース もともと肝硬変などで腹水が貯留していた人の術後で量が多いケース です。 このように 急激な量の変化でなければ、すぐに対応が必要、ということはありません。 突然量が増加した、というケースでも判断は難しいところです。 色調の変化があれば上述した対応になりますが、色調変化はなく突然量が増えただけ、というケースでは、 「それまで通過が悪かっただけ」ということが経験上多いです。 閉塞しかかっていたり、腹腔内で内臓脂肪や臓器に当たって引きが悪かったものが偶然解除された、ということですね。 こういうケースでは病的意義はなく、 即座の対応は不要でしょう。 基本的には、即座に医師への報告が必要というケースは少ないと考えて良いと思います。 もちろん、 尿量が急に減っている、バイタルが変化している、というケースではすぐに対応が必要です。

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ドレーン管理の看護~基礎知識と看護のポイント~

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ドレーンの分類と目的 腹腔内の手術では臓器や血管、皮膚などを切ったりしますので出血はあります。 また、洗浄もしますので術後に体内に洗浄した生食も残ってしまいます。 さらに術後に感染、出血や縫合不全など起こる可能性があります。 しかし、ドレーンが入っていれば、出血や感染、縫合不全を早期に発見できます。 そのため、術後のドレーン管理は重要なのです。 種類 ドレーンの目的 治療的ドレーン• 疾患や病態改善のため• 病気により溜まった膿汁や消化液などの体液を排出するため 予防的ドレーン• 術後の出血・膿・リンパ液、消化液、滲出液、手術で使用した洗浄液の残り)を排出させるため• 血液や浸出液感染・縫合不全にならないようにするため 情報ドレーン• 感染、術後出血、縫合不全などなってないか知るため• *予防的ドレーンと区別は難しい この3つがドレーンを留置する理由です。 手術後の腹腔ドレーン管理と観察ポイント ドレーンの管理においては、排液の「色」「性状」「量」「臭い」などを確認し、量の増加、異臭の出現など、通常の経過にあてはまらないドレーン管理と観察ポイントを認めた場合は、全身状態を評価し、緊急手術に備えた対応が必要です。 ドレーン排液の色と性状の変化 正常であれば排液の色は術直後が「血性」あるいは「淡血性」であり、術後1日目以降が「淡血性」あるいは「漿液性」となる。 正常:淡血性~漿液性(術直後かた淡血性~漿液性と変化する)• 血性:術後出血や縫合不全• 白みがかかり混濁している(膿性):感染、縫合不全 ドレーンの排液量• 手術室でドレーンを挿入する際の直後や病棟に帰室後も排液の色は赤く濃く排液量も多いです。 また色だけ観察するわけではなく排液量もしっかり観察します。 1時間に100 ml以上の血性排液が続く場合や血液の塊が混ぜる凝血塊がみられる場合は,術後出血ですので医師へ報告する必要があります。 ドレーンの排液の匂い• 正常・・・無臭• 異常・・・便臭(消化管の損傷・縫合不全)、酸っぱい匂い バイタルサイン(体温、心拍、血圧など) 大きな観察ポイントです。 ドレーンの固定 ドレーンを固定方法は、呼吸性変動を考慮し、2、3cm程度の余裕を持ってドレーンが屈曲・閉塞しないようにテープで固定します。 挿入部位近くに一度固定し、さらに大腿に固定することが多いです。 近年はドレーンの早期の抜去と閉鎖式ドレーンが推奨!! 近年では、ドレーンによる感染のおそれにより、ドレーンの早期の抜去もガイドラインで推奨されています。 ひと昔前までは、解放式ドレーンが一般的でしたが、近年では感染のリスクもあるため閉鎖式ドレーンが推奨されています。 孔になっているので、ドレーンがずれにくく、抜けにくい構造になっている。 主な手術例 ・S状結腸切除術 ・汎発性腹膜炎(パンペリ) ・胃がん摘出手術 などがあります。 ドレーンの種類 ペンローズドレーン ・毛細管現象を利用して排液する。 ・ペンローズドレーンは柔らかく,使用頻度が高い。 ・凝血塊や壊死組織を含んだ滲出液は詰まりやすいという欠点がある。 ・しかし、屈曲しやすくドレーン入れ替え困難 デュープルドレーン ・管壁内に細孔を設けることにより,毛細管現象を兼ね備えたもの ・ペンローズドレーンより硬い。

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スラブドレーン|商品紹介|秩父産業株式会社

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ドレーン・カテーテル・チューブ管理 完全ガイド 管理についての最新知識とケアのポイントが満載 〈目次〉• ドレナージの理解 1 総論• 2 ドレナージの方法と管理• 3 ドレナージに用いられる器具• 部位別ドレナージの実際と看護 1 脳神経• 2 耳鼻咽喉• 3 呼吸器• 4 循環器• 5 乳腺・内分泌• 9 泌尿器• 10 婦人科• 11 整形外科• 12 その他• ドレナージ吸引装置の使い方• 本記事は株式会社の提供により掲載しています。 [出典] (編著)窪田敬一/2015年7月刊行/.

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